ちょっと失礼しますよ。

あんたら全員飛べ！
どこからとは言わないけどね。
親を選べない子供が可哀想だよね。
なんなら全員うちの子にしてやるわよ。
全部あたしが何とかするからお前らはもう消えてくれ。
・・・と届かない文句をこんなとこで言ってみたりして。

あと半月でホワイトデイです。
困ったな、バレンタインも来てないのに。
過ぎちゃったんじゃないんですよ！来てないんですよ！
私の周りにはね（←日にちまでもが自分を中心に回ってると信じるT子さん）
ホワイトデイには何をあげるのが慣わしなんですかね？
バレンタインには、チョコでしょう？
コンビニ行ったらクッキーがたくさん並んでいたので、私はクッキーでいきます。
室町くんはクッキーを焼けるのでしょうか。
千石さんはきっと焼ける。ケーキだって何だって焼ける。
室町くんは料理は出来るけどお菓子類は苦手だといい。
特に焼き菓子みたいな加減が難しいものは苦手。
結局焦がして、既成のものを渡すことに。
千石さんは調子にのって、一つ一つにチョコペンで「LOVE」と書いてしまい嫌がられる。
嫌がりつつも、まんざらでもない室町くん。
バレてないと思って校舎裏とかでイチャついてるのを喜多に暖かく見守られるバカップル。
そんな「気分は母親」状態の喜多の肩を後ろから叩くのは新渡戸。
手に手をとってずらかった行き先は誰も知ることはありません。
千石さんはラッキーなので、室町くんの作った焦げたクッキーを一つ貰うことが出来ましたが、泣き出しました。苦くて、泣き出しました。
音も無くすすり泣く声を聞きつけて走ってきたのは苦労人ケンタロウです。彼を地味と名づけたのは千石さんですが、彼、実は結構オールマイティに何でも出来る男の子。聴力だって学校イチ☆
戸惑う室町に向けて、爽やか笑顔で一言（このとき、もちろん前歯は白く輝かなければなりません）
「感激したのさ」
「感激・・・ですか」
フォローだって学校イチ☆負け無しタブルスファイトオー。
そしてまた学校イチ☆のスピード（四月のスポーツテストにて判明）で走り去る苦労人は、瞳に星を浮かべた室町に見送られました。
室町くんの言うことに、
「あの・・・どうぞ、まだありますから」
「ありがとう、嬉しいよ」
千石さんは完食します。焦げたクッキー完食します。もう泣きながら完食します。
千石さんは、強い子なのです。

陶子でした。